日常舞台

2020/02/16『天保十二年のシェイクスピア』@日生劇場

絢爛豪華 祝祭音楽劇『天保十二年のシェイクスピア』
作  井上ひさし
音楽 宮川彬良
演出 藤田俊太郎

濃かった!
脚本の秀逸さもさることながら、宮川彬良の作る音楽が耳に残る残る〜
特に『もしもシェイクスピアがいなかったら』がぐるぐる回ります
そして、賭場での音楽はピリリとした空気の賭場なのにボサノバを当てるセンス大好き!

休憩含め4時間の長丁場な舞台ですが、その中に凝縮されたシェイクスピアの物語と人間模様に圧倒されっぱなしでした

沢山の人間が登場しますが、その中心には佐渡の三世次がいます
中心と言っても表舞台に立つのは後半になりますから、潜んでいるんですよね
ドーナツの穴のような存在で人間が交錯していく中でキャラクターとしてどんどん形が見えていくというか…?
それも三世次がことばを使って蹴落とし出し抜き生き残っているだけです
三世次のキャラクターが変わっているわけではありせん

なんとも不思議なキャラクターですね
リチャード三世をモデルにしてるのは分かりましたが、高橋一生演じる三世次は野心よりも反骨心というか鬱屈したものを抱えた男でした
誰にも「分からない(分かり得ない)」男、佐渡の三世次

ストーリーは『リア王』から始まり『ハムレット』『マクベス』、『ロミオとジュリエット』『夏の夜の夢』と広がっていきます。
そんな中で三世次が『リチャード三世』をメインとして様々なキャラクターを混ぜ合わせながらも存在し続ける
とっても面白いですよね


下ネタが結構エグくて、濡れ場が服着てるだけでガチ濡れ場な感じだったのがびっくりしました
『オセロー』の、お里と幕兵衛のシーンが一番情念溢れていて好きです


以下キャスト別感想(敬称略)
★佐渡の三世次 高橋一生
上記の通り不思議なキャラクター
この物語の、ひいてはシェイクスピア劇の深い業を煮詰めたキャラクターでした

高橋一生さんはテレビでよく見る俳優さんというイメージでしたが、やはり顔が良い…………

鬱屈した三世次なんですが、お光に恋してしまったのはとてもピュアな男に見えました
その恋の成れの果てがアレなんですけども

しかし、作中で♪なんだしなんだしAGC♪をネタにするのはズルい笑


★きじるしの王次 浦井健治
あっけなく死んでしまってびっくりした
ハムレット兼ロミオ
あと夏の夜の夢かな?

メタマクのランディっぽい浦井健治でした
マクベスじゃなくてハムレットだけどね笑

お冬を罵倒するシーンは酷すぎてお冬と一緒に泣きそうでした
チャラ男好青年さと螺をとばしてしまえる危うさとが調和してるの怖くないですか

一番笑ったのは「to be or not to be 」の翻訳イロイロをやりきったところ
王次はいたって真面目にやりきってるのがまた笑っちゃう


★お光/おさち 唯月ふうか
コーディリア兼ジュリエット
後は調べました笑間違いの喜劇ですね

ふうかちゃんの可愛い演技よりツンケンしてる方が可愛く感じちゃうのですが、今回は両方楽しめるお得感笑

お光は王次が大好きで本当に可愛くて可愛くて…なんで幸せになれないの……


★お文 樹里咲穂
リア王兼ハムレット
色っぽいお姉様
姉妹だからこそ憎い!っていうのさえコメディっぽくて可愛らしいんだけど可愛くはないのが好き

★お里 土井ケイト
リア王兼マクベス兼オセロー
あんなにツンケンしてたのが憑き物が落ちたようになるのが切ない


★隊長 木場勝己
元ネタ調べました笑
素敵な語り部で、おちゃめな部分も可愛いです